SNSやゲーム上では存在を確認できるが、リアルでなかなかお目にかかれないものといえば「ゲーマー女子」だ。
ゲームにはおおむね男性が好むファンタジー(冒険、戦闘、成長など)を前景化したタイトルが多く存在するが、そうした世界の中でゲーマー女子はいささか謎のベールに包まれた存在と言えるのではないだろうか。
ちなみにゲーマー女子とは、広義にゲームを趣味にする女性のことであるが、本稿ではもう少しタイトな定義を用いることにした。
つまりスマホ端末ではなく、家庭用ゲーム機(PS、Nintendo Switch、Xbox)もしくはゲーミングPCでゲームをプレイし、趣味としている女性のことをゲーマー女子の定義とすることにした。
当サイト「300人のホンネ」編集部では、そうしたゲーマー女子の謎のベールを取り除くため、155人のゲーマー女子にアンケート調査を行った。
本稿はその調査結果の報告である。
ゲーマー女子の生態
まずは気になるゲーマー女子の生態について見ていくことにしよう。
SNS上の「ゲーマー女子」像は虚像
SNS上でのゲーマー女子といえば、猫耳のヘッドフォンをつけ、ピンクやLEDテープでデコレーションしたかわいいゲーム部屋にちょこんと座り、エナジードリンクの缶にストローを刺してプレイしているイメージだが、実態面はどうなのだろうか?
そうしたSNSで流布しているゲーマー女子のイメージについて、リアルのゲーマー女子に聞いてみた結果が下図だ。
結果は、「あくまで少数派にすぎない」(51.6%)、「実態とかけ離れている」(34.8%)のあわせて86.5%が、実際のゲーマー女子の実像との乖離を感じている。
確かに言われてみれば男性ゲーマーでもゲーム部屋を作りこんでいるようなゲーマーは少数派に過ぎない。
SNS上で流布しているゲーマー女子のイメージを、そのままゲーマー女子に当てはめるのは無理がありそうだ。
またプレイ中の暴言状況を聞いた質問では、下記の結果となった。
さすがにゲーム内のチャットで暴言を流すような行為は8.4%にとどまったものの、実に半数以上のゲーマー女子が「ちっ…さっきからなにやってんだよ!」のような暴言を独りごちている。
ミスしたときは「ダイジョーブだよ、どんまい!ルンルンっ♪」など、やわらか対応を期待していた男性にわか勢にとってはショックの一言である。
あまり知りたくなかった事実だが、ゲームプレイ中に熱くなるのは男女ともに共通事項であることが確認された。
プレイ時間は1日2時間以内が過半数
続いてゲーマー女子の1週間の平均的なゲームプレイ時間を聞いた。
結果は「10~19時間/週」の50.3%が最多となり、毎日就寝前に2時間程度プレイしている様子がうかがえる。
次いで多かった「20~29時間/週」(23.2%)も、平日は2時間程度、休日はもう少し腰を入れてゲームに没頭するといった感じのプレイスタイルではないだろうか。
こうしたプレイ時間なら「昨日遅くまでゲームやってたから、寝不足で…」という女子が身近にいてもおかしくなさそうだが、ゲームのせいで眠い眠い言ってる女子を身近に見かけないのは不思議である。
また2.6%とかなり少数であるものの、週に50時間以上(7時間/日以上)とガチ勢丸出しのゲーマー女子も確認できた。
ゲームに対する出費は6,000円以内が8割
続いて、ソフトやアイテム課金など、ゲームに1か月でどれくらいの支出があるか?を聞いた。
結果は、「6,000円」未満が81.3%となり、月にソフト1本の購入があるかないかくらいの金額帯が最多となった。
また今回の回答者の中での最高額も「30,000円」におさまり、熾烈な課金競争に巻き込まれるでもなく、健全なゲームとの付き合い方をしているゲーマー女子が多いことがわかった。
さて、ここまででゲーマー女子の生態について紹介したが、肝心なのは「どこに行けばゲーマー女子と出会え、そして仲良くなれるのか?」である。
そこで次章では、ゲーマー女子との出会いについて報告していくことにしよう。
ゲーマー女子が集まる場
ファミコンが1強状態だった80年代と比較すると、令和はゲームをプレイするハード自体も多様化したし、ソフトにいたっては選択肢がもはや星の数ほどあるといっても過言ではない。
またゲームのジャンルもかなり多様化し、同じゲーム好きといってもFPS・TPSファンと歴史ストラテジー好きでは話が全然あわないなんてことも大いにあり得ることだ。
そんな広大な宇宙ともいえるゲーム世界で、ゲーマー女子たちが集う場はあるのだろうか?
そこで、
・ハード
・ジャンル
・ソフト
の3点について調査を行った。
ゲーマー女子に人気のハードはNintendo Switch
まずゲーマー女子の約半数がプレイしているハードは「Nintendo Switch」(47.1%)だった。
ただしこれは各ハードの累計販売台数を考えると、Nintendo Switchの販売台数はPS4とPS5を合計した販売台数の約2倍ほどになるため、Nintendo Switchに特別女性が多いというわけでもない。
Nintendo Switchに次いで多かったのは「PS4・PS5」の35.5%だが、「ゲーミングPC」でプレイしている女性が約2割もいることは注目に値する。
いずれにせよゲーマー女子ともっとも接触しやすいハードは「Nintendo Switch」であること考えてよさそうだ。
ゲーマー女子が生息するジャンルは「RPG」が最多
続いて、ゲーマー女子がプレイしているゲームジャンルについて見ていくことにしよう。
▼ゲーマー女子がプレイしているゲームジャンル
RPG | 60.6% |
シミュレーションゲーム | 36.1% |
パズルゲーム | 34.2% |
箱庭・育成ゲーム | 33.5% |
音ゲー | 27.7% |
FPS・TPS | 26.5% |
MMORPG | 20.6% |
ホラー・脱出ゲーム | 20.0% |
ノベルゲーム | 12.3% |
ボードゲーム | 11.6% |
格闘ゲーム | 11.0% |
レーシングゲーム | 10.3% |
フライトシューティングゲーム | 7.1% |
カードバトルゲーム | 4.5% |
MOBA | 1.3% |
男性と比較したデータがないのでこれがゲーマー女子特有のものなのか、ゲーマー自体がそうなのかは不明だが、もっとも人気だったゲームジャンルはRPG(60.6%)で、2位以下を大きく突き放した結果となった。
ついで「シミュレーションゲーム」(36.1%)、「パズルゲーム」(34.2%)、「箱庭・育成ゲーム」(33.5%)が続いた。
特記すべき事項としては、ゲームとしては激しい戦闘要素が多い「FPS・TPS」(26.5%)、「格闘ゲーム」(11.0%)にもゲーマー女子が一定数存在することが確認できた。
ゲーマー女子に人気のゲームタイトルTOP8
ゲーム女子に人気のゲームジャンルを確認できたところで、人気のゲームタイトルまで深堀りしておくことにしよう。
ただゲーマー女子がいまプレイしているゲームタイトルは、票がかなり割れたのでここではTOP8のみに公表をとどめる。
▼人気のゲームタイトルTop8
1 | あつまれどうぶつの森 | 9.0% |
2 | FF14 | 7.7% |
3 | Apex | 7.1% |
4 | ポケモンアルセウス | 6.5% |
5 | ELDEN RING | 5.2% |
6 | Minecraft | 4.5% |
7 | フォートナイト | 3.9% |
8 | スプラトゥーン2 | 3.2% |
8 | スマッシュブラザーズ | 3.2% |
8 | モンハンライズ・XX | 3.2% |
結果がかなりバラけたのでいずれのタイトルも大きな差はないが、もっともゲーマー女子から支持されているゲームタイトルは「あつまれどうぶつの森」(9.7%)で、次いで「FF14」(7.7%)、「Apex」(7.1%)の順となった。
確かに好きなゲームジャンルでもダントツ1位だったRPGが、ゲームタイトルのランキングでも目立つ。
「FF15」ではなく「FF14」である点はFFファンはうなずける結果だと思うが、「ELDEN RING」(5.2%)のような硬派なタイトルが5位に入っているのも面白い。
いずれにせよ、ゲーマー女子と出会いたかったら「あつ森」か「FF14」あたりで探してみるのがいいかもしれない。
ゲーマー女子の恋愛観
ここまではゲーマー女子と接触しやすい「場所」について見てきたが、ここからはゲーマー女子の恋愛観について見ていきたい。
というのも、ゲーマー女子たちと接触できたとしてもその先はリアルと同じアプローチでいいのか、それともゲーム上での出会い特有の振る舞いが必要となるのか見極める必要がある。
そもそもゲーム上で出会っても、はじめから恋愛対象から外されていたのでは友達以上になれる期待はできない。
結論から言えば、ゲーマー女子にとってゲーム上で知り合った男性の見方はほぼ真っ二つにわかれる。
全体で見ると、「リアルと同じで恋愛対象になる」(19.4%)と「ゲーム上で知り合った男性でも外見や性格がよければ対象になる」(26.5%)で46.0%のゲーマー女子が、ゲーム上での出会った男性を恋愛対象としてみることに抵抗を感じていない。
一方で、ゲーム上で知り合った男性は「恋愛対象になりにくい」(32.4%)と「恋愛対象外」(20.0%)で52.4%のゲーマー女子はゲーム上での出会いが恋愛に発展することを否定的に見ている。
ポジティブに考えるなら「恋愛対象外」と拒絶している層以外は、ワンチャンあると考えることもできるが、少なくともゲーム上で出会うことがリアルの出会いより有利になることはなさそうだ。
また年齢層別にみたときに、「恋愛対象外」と見ている層は年齢があがるにつれて少なくなるという傾向が見られた。
いずれにせよ、少なくとも1/2の確率で恋愛対象として見てくれるゲーマー女子が存在することがわかった。
ではゲーマー女子にどうアプローチするべきか、深堀りしてみることにしよう。
ゲーマー女子に男っ気は少ない
ゲームの世界での男女比は、やはり男性のほうが多い。
そのためゲーマー女子といえば、理系学部の女子大生状態になっていたり、お金にモノを言わせるおじさんゲーマーからレアアイテムの貢ぎ物が届けられるようなイメージがないだろうか?
仮にそれが真実であれば、競争率の観点からゲーマー女子の心を射止めるハードルは上がってしまうことになる。
ところが現実は異なるようだ。
ゲーム内で「かなりモテる」、「ややモテる」と回答したゲーマー女子はわずか16.7%に止まった。
MMORPGなどで「初心者のJDです♡」などネカマをやっているプレーヤーを目にすることがあるが、あの作戦はネカマとして偽装することの労力とリターンが見合っていないではないかと疑ってしまうような結果だ。
なにより「他プレーヤーと交流したことがない」(62.6%)ゲーマー女子が過半数となり、ゲーム内で女性であることを認知されることすらなく、寡黙にゲームに打ち込んでいる女子が多いことがわかる。
あくまで出会いではなくゲームを楽しむためにログインしているわけで、当たり前といえば当たり前だが…。
ではゲームを趣味としているなら、男性の友人はさぞ多いのではないか?
こちらに関しても、現実は逆であった。
男友達が「かなり少ない」(51.6%)と回答したゲーマー女子が、群を抜いて最多となった。
次いで多かったのも「平均的だと思う」(28.4%)で、ゲームを趣味としていても特に男友達が多いということはないことがわかった。
前問のゲーム上で「他プレーヤーと交流したことがない」が過半数であることをあわせて考えると、むしろゲーマー女子は「男っ気が少ない」とさえ言えるかもしれない。
ゲーマー女子とお近づきになりたいのであれば、受け身でいるゲーマー女子のほうが多いので、こちらから積極的にアプローチしていく必要がありそうだ。
男性にはゲーム好きであってほしいが、うまくなくてもよい
続いて、ゲーマー女子の理想の男性像ということで、パートナーとなる男性のゲーマー度やゲームスキルはどのように考えているのかを調査してみることにした。
まずはパートナーの男性の理想的なゲーマー度が下表だ。
突出して多かったのが「ほどよくゲームを楽しむ人」の67.1%であった。
ゲーマー女子は、パートナーになる男性にも一定のゲームに対する「たしなみ」を求めていると言えるかもしれない。
では一方で、パートナーに求めるゲームの腕前のはどうか?
大きく見ると、結果は二分された。
つまりパートナーのゲームの腕前に「こだわりはない」が56.8%で最多となったが、一方で「自分よりはうまくあってほしい」が36.8%で割れた。
「自分よりうまくあってほしい」というのは、一緒にプレイしたときに気まずくなりたくないという心遣いにも思えるが、かと言って「尊敬できるレベル」の腕前を求めたゲーマー女子は0.0%だった。
ゲーマー女子の最大公約数の理想像は、ゲームの腕前それ自体よりも「ゲームをほどよくたしなめる人」であると言うことができそうだ。
もはやゲームは「恥ずかしい趣味」ではない
最後におまけではあるが、ゲーマー女子をなぜリアルで見ないのか?に関してヒントを与えてくれそうな結果を紹介する。
結果を見ると、自身がゲーマー女子であることを隠さない女性が7割ほどを占めた。
このe-Sportsの名で高校の部活動として認められる令和の時代にあって、ゲームはもはや「恥ずかしい趣味」ではないことが明らかだ。
ただ一方で、30代以上のゲーム好きには共感が止まらないこんな意見があった。
「学生の頃は今ほどオタクが世間に許容されていなかったので隠していました。なので今の子達が羨ましいです」(33歳、会社員)
この声に象徴されるように、かつてはそうではなかったのだ。
男性の筆者ですら「趣味はゲームです」というと、なんとなくオタクっぽさや「低俗な趣味」というレッテルを感じた時代があった。
同じゲームでも将棋や囲碁は高尚な趣味と扱われるのに、テレビゲームは白い目で見られるという不可解な感覚が当たり前だったのだ。
そうした不遇の時代を経て、ゲームはいまや社会的にも許容される趣味の座を獲得したといえる。
ただしこの感覚はまだ過渡期にあると考えられる。
というのも、
「ストレス発散で夜な夜なバッタバッタ人をなぎ倒してるゲームをしているとは大人になってからは公言できない」(36歳、アルバイト)
「自分の周りにいる友達はファッションやメイクの方に興味がある子が多く、ゲームの話をしても理解してもらえない為、相手がゲーム好きだとわかるまではゲームが趣味であると話さないようにしています」(22歳、大学生)
のように、TPOを考えたときに、公表しない選択を採る人も存在する。
「大人だから」や自身が所属するコミュニティにおいて「浮きたくないから」という理由からだ。
今後こうしたゲームの社会的な許容度は上がるのか、いまがピークなのかはわからない。
ただしゲーマー女子たちが「女性」というだけで、迫害を受けるような社会であってほしくはないものだ。
まとめ
本稿ではゲーマー女子300人にアンケート調査を行い、その生態や出没場所に関する実態調査の結果を報告した。
また大半のゲーマー女子はSNSで流布するイメージとは異なる側面も指摘することができた。
本調査ではゲーマー女子の年齢層も多様化していることが確認できたので、記号的な「ゲーマー女子像」を確立すること自体ナンセンスにも感じられる。
ゲーマー女子が多様化が加速すればするほど、この「ゲーマー女子」という語も死語と化していくかもしれない。
アンケート実施方法
アンケート方法
・アンケート方法 インターネット上でアンケートを実施
・回答者数 一般女性155名
・調査日 2021年3月30~31日
・設問は単一選択式、および複数回答
・調査主体 【300人のホンネ】編集部
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